メタバースに参入している企業が増え、利用者も増えてきました。しかし、新たに問題点も出てきている様です。
1つ目は、「現実社会が希薄になりメタバースへの依存度が高くなってしまう」という事。
メタバース依存は仮想空間内で、娯楽やビジネスが可能な為、現実社会との接点が無くても生活が出来る事が原因と考えられます。
2つ目は、「企業がビジネスに参入した際の法的リスクが高くなっている」という事です。
企業の問題点としてはNFTの活用や企業側の改善策、また法的整備が求められます。
しかし、メタバースは今後も趣味としてだけでなくビジネスシーンとしてもますます繁栄していき、生活の一部となるでしょう。
私達は何に気を付ければ良いのでしょうか。メタバースの問題点や気を付ける事を見てみましょう。
メタバースの問題点は依存度が高くなってしまう
ゲーム依存やスマホ依存の様にメタバースの仮想空間に依存してしまう事が問題点としてあげられます。
現実社会にいても常にメタバース内のゲームでの自分の評価が気になってしまう。
メタバース内の自分のデジタルアート作品の評価が気になる。
など、メタバースの事ばかり考えてしまい、現実世界が疎かになってしまう問題点があげられます。
人付き合いが苦手な方は、自分好みのメタバース内のプラットフォームにしか興味が示せなくなるという問題点です。
しかし、本人はメタバース内で会話もしているし、仮想通貨での支払いをしているので依存しているという実感が湧きません。
生活に支障を感じにくい点も問題点としてあげられています。
メタバースを使用する時は「依存度が高い」という事を認識する必要があります。
VRゴーグルを長時間使うとアバター酔いを起こす
メタバースを楽しむ為には「VRゴーグル」を使用する方も多いでしょう。
無くても楽しめますが、メタバースらしさを楽しむにはVRゴーグルを装着した方がよりメタバースを楽しめますよね。
しかし、アバターの技術の進歩は凄まじい!とはいえ、まだまだぎこちなさは残っています。
その為、VRを装着していると「アバター酔い」を起こし、体調不良になる方がいらっしゃいます。この様な健康被害も問題点の1つです。
あまり長時間VRゴーグルをつけていると、アバター酔いを始め頭痛、吐き気、めまいなどを引き起こします。
スタンフォード大学のジェレミー・ベイレンソン教授は、「30分ルール」を掲げています。
ジェレミー教授はVR関連のラボの創設者です。教授は「一日にVR空間で過ごせる時間は最大30分である」と提唱しています。
そして、現代のテクノロジーでは、30分経ったらVRを外して現実の世界とのつながりを取り戻す必要があるとも述べています。
VRの世界はまだ未熟なのでアバター酔いなどの体調不良も気を付けなければいけません。
しかし、物足りなくてもVRを外してメタバースの世界は楽しめます。その為そのままメタバースを続け依存してしまうのです。
「私は依存しない」ではなく「これは依存度が高いもの」と認識する事が大事です。
子供のメタバース依存度が問題視されている
特に子供への影響はかなり心配されています。あるゲーム機で離れている友人達と一緒にゲームが出来るという機能がありまよね。
これがメタバースでも当たり前に行えるのです。メタバースでは低年齢の子供でも楽しめるプラットフォームが存在しています。
学校が終わったら、「○○プラットフォームに集合!」なんて事が起こっているのです。
その為、依存性やアバターによる健康被害の問題点の声があがってきているんです。
2022年2月時点では、デバイスが高価なので全員の子供が参加出来ているわけではありません。また、今は学校の遠隔授業がZOOMです。
しかし、デバイスが安価になった場合、アバター酔いが改善された場合、学校の授業がメタバースで行われた場合、どうなるでしょう。
そんな事あり得ないと思われるかもしれませんが、学校が終わればそのままプラットフォームで遊びに行くでしょう。
しかし、既に企業ではメタバース内での会議が行われており、アバターを使いプラットフォーム内で仕事をしています。
インターネットの中で遊ぶなんて考えられないな、大丈夫なのかな?
現実世界に近いメタバースの世界は依存度が高くなるという問題点は否めません。ゲームを止めるタイミングは子供には分かりません。
ゲーム障害にまで重度になると理性的な判断が出来ない、キレやすくなるなどの問題行動が出てきてしまいます。
子供からはある一定の制限をかける事が必要になってきますよね。
私達大人は、メタバースの良い所だけでなく問題点もしっかり認識して子供に利用させる必要があります。
子供はなかなかゲームを止めてくれないのよね
私の子供もゲームが大好きです。小学校3年生で既にネットゲームを楽しんでおり、参加者とチャットをしていて驚きますよ。
帰宅すれば、すぐiPadで動画を見ますので、もしバーチャルの世界に入り込めば抜けれなくなってしまう事が目に見えて分かります。
ふてくされる事は分かっていますが、動画を見る時間を決めて守る様に声掛けをしています。目も悪くなるのも気になりますしね。
幸い本を読む事に抵抗がありませんので図書館で借りてきた本を読ませたりしていますが、親の目を盗んで動画を見ている様です。
中々完全にシャットアウトする事は難しいのが現状ですが、ゲーム依存にならない様に親が気に掛ける必要はありそうです。
メタバースでの問題点やビジネスで気を付ける事
メタバース内におけるビジネスの問題点を見ていきましょう。この問題はメタバースだけでなく全ての仮想空間に共通しています。
2021年経済産業省の「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」が発表されました。
そちらの資料に「権利の保護や侵害など12つの問題」をあげられています。
仮想空間ビジネスを勧めていく上での課題として、権利の保護や侵害、違法情報の流通など、12の問題を提示しています。
事業者がビジネス参入した際の法的リスクとして、「不法行為責任」の法的対応の限界に伴うトラブルが発生していると書かれています。
仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業報告書 より(引用:経済産業省/仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書 18ページ目)
またこれらの問題点から対応策も書かれていました。
仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業より(引用:経済産業省/仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書 20、21ページ目)
対応策は「アーキテクチャ」「市場」「規範」「法」から書かれています。
「アーキテクチャ」「市場」「規範」からの対策をまず検討する事が重要な様です。
法律を成立させるよりも早く問題点が解決出来るからね
また、NFTの活用を徹底する事も大切です。ただ、やはりインターネットでの著作権などの問題は難しいのが現状なのかもしれません。
ブロックチェーンで暗号化しても100%安全という保障はありませんので、著作権法に関する法整備を迅速に行って欲しいですね。
この様に「経済産業省仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業報告書」には「12の問題点と解決策」が掲載されています。
メタバースでの取引を考えているあなたはぜひ参考にしてみて下さい。
メタバースでの利益が出た仮想通貨には税金がかかる
ある一定以上の利益が出た暗号資産(仮想通貨)には税金がかかります。
こちらは国税局のホームページより「暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」で見る事が出来ます。
計算方法も載っていますので、利益が出た方は確定申告が必要となります。
仮想空間なんだしバレてないんじゃないの?
いえ、これがちゃんと分かる様になっています。
税務署は暗号資産の無申告に目をとがらせています。また、税務署が取引所から情報を集めれば、簡単に分かってしまうのです。
税務署から連絡がくれば取引所が黙っておく事はありません。また、利益を換金すれば銀行口座に入ってきます。
そこからも情報が分かりますので、利益が出た方は素直に確定申告を行いましょう。
よく仮想通貨でも利益が20万円以下だと仮想通貨の申告はしなくていいと思われますがそれは所得税法です。
住民税の申告は20万円以下でも申告しなくてはいけません。税金について自信がない方は税理士に相談された方が良いかもしれません。
故意で無くても税金を払わなければ罰金が課せられます。検討してみましょう。
メタバースの問題点と参入するメリットを考えよう
仮想空間の問題点の改善が仮想空間やメタバースの拡大に繋がっています。
しかし、メタバースや仮想空間の問題点もまだまだ否めません。更なる改善や法整備が必要となるでしょう。
だからと言ってメタバースや仮想空間の問題点ばかり見ていてはビジネスに参入出来ません。
メタバースや仮想空間のビジネスに参入するメリットやデメリットを考えた時、メリットの方が大きい事も事実です。
メタバースや仮想空間はビジネスに参入した際どの様な事が出来るのでしょうか。
下記は、経済産業省は「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の資料です。
仮想空間を利用するメリットやビジネス活用を掲載しています。
引用:経済産業省 仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業より、
仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書 5ページ目
特に仮想空間内のプラットフォームが出てきた事によって、ゲーム以外の企業も参入しやすくなりました。
これらの条件を満たしてくれるのがメタバースと言えるでしょう。
仮想空間のプラットフォームをビジネスとして利用
ビジネスに参入する代表的と言えば、ゲームのプラットフォームでしょう。
しかし、仮想空間はもっと様々な利用価値があります。
- バーチャル会議室
- イベント
- 不動産の売買
- デジタルアートの売買
- バーチャルショッピング
主にこの様にプラットフォームが提供されています。
<バーチャル会議室>
バーチャル会議室はセミナーや講義などに使用する事が出来ます。
またプレゼンなどの資料やデータを共有する事が可能なので、企業同士の情報交換などもスムーズに行えます。
<イベント>
某ミュージシャンが仮想空間内でのライブを開催しました。
入場制限もありませんし、現実では現わせない映像などの演出もあるので話題になりました。
有名企業やサークルの期間限定のイベントも行う事が出来ます。
仮想空間では日本国外の人が訪れますのでビジネスとしては大きな成果が期待できますね。
<不動産売買>
プラットフォーム内に土地を購入し家屋を作り、賃貸契約、賃貸オーナーなどが可能です。
もちろん、自分のショップや(仮想空間の)自宅として利用する事も出来ますよ。
自分のショップが儲かれば土地を買い、広げる事も出来ますし、不動産の価値が上がれば売却も可能です。
現実社会の不動産と同じ機能を持ち、さらに不動産にもNFTを使いますので、あなただけの不動産としての価値が高まります。
<デジタルアートの売買>
NFTとブロックチェーンを使って暗号化されたデジタルアートを売ったり、買ったりします。
コピーを作られる事が出来ませんので、「唯一無二のもの」として価値があり、オリジナル作品も多く出品しています。
オリジナルのアバターを作っている方も自分で売買をして稼ぐ事が出来ます。
デジタルアートはとても人気が高く、有名なイラストレーターの作品が数億円で売買されたケースもあります。
取引額に驚きますね、絵心が無い事が悔やまれます。
<バーチャルショッピング>
メタバースの先駆けとして有名なバーチャルショッピングと言えば、「バーチャル伊勢丹新宿店」でしょう。
リアルさを追求して、新宿三丁目周辺の景観を再現したものです。
アプリ「REV WORLDS」を利用し、自身のアバターで「バーチャル伊勢丹新宿店」で買い物が出来ます。
アバターで入店すると売り場が再現されるのですが、何と店員さんも実際に3dスキャンしたそうです。
これなら買い物や分からない事やお会計など店員さんとのコミュニケーションを楽しめますね。
商品も、実際に伊勢丹新宿店の売り場で販売しているもので、1つずつ3dスキャンしています。
それだけでも驚きですが、それぞれ商品説明も記載されているので素材やサイズに迷う事がありません。
色違いやサイズ違いが欲しい場合や違う商品が欲しければ、バーチャル空間から直接ECサイトに飛んで実物を購入できます。
友人と買い物も出来るし、他のお客さん(アバター)と交流出来るだけでなく、出会ったアバターに友達申請することも簡単なのです。
反対に現実世界の方が話かけたり、友達申請したり出来ないですよね。
私も、メタバースや仮想空間にこの様な有名なデパートのプラットフォームがあるなら、利用したいと思いました。
メタバースの問題点をセカンドライフの衰退から学ぶ
現在のメタバースの繁栄には、「セカンドライフ」の問題点を克服した。という事があげられます。
メタバースのパイオニアである「セカンドライフ」とは何でしょう?
「セカンドライフ(Second Life)」は2003年にアメリカのリンデンラボ(Linden Lab)社が開発したソフトです。
当時とても画期的なこのセカンドライフのインターネットの仮想空間は大きくマスコミに取り上げられ、多くの企業が参入しました。
全盛期には100万人以上(月1回以上アクセスする人数)、新規登録者数約40万人。スタートから10年で取引額は32億ドルを誇っていました。
ここまで活発だったのに何で衰退したの?
「衰退」と書きましたが、現在もセカンドライフは健在です。
経済活動も活発で1日平均日本円で2000万前後の取引が行われていますし、同時ログイン数は3~5万人となっています。
創業17年の老舗ですので愛着のあるファンも多いのです。
しかし、一時期の勢いに比べると、圧倒的にメタバースを利用している人口の方が多いですね。
メタバースのパイオニアセカンドライフの衰退の原因は
これは色々な要因がある様ですが、原因の1つに「過疎化」という問題点があります。
1つのワールドに最大50人しか入れないので、人と出会う確率が低くなります。
仮想空間はアバターで色々な国や人とのコミュニケーションを図る事を望んでいる人が多いです。
しかし、セカンドライフにログインしても1人も出会えない、会話しないという事が多くありました。
イベントがある時なら出会えていた様ですが、毎日イベントがあるわけではありませんよね。
これがセカンドライフの衰退原因の1つだと考えられています。
現在も運営されていますが、利用者が少ない事もあり、やはり1人も出会わない、会話出来ないといった問題点はある様です。
メタバースでは1つのプラットフォーム内に多くの人が出入りしており、様々な国の人たちと会話が楽しめます。
日本人同士でも出会う事は容易ですし、会話だって出来ます。ログインして1人も出会わないという事はありません。
過疎化問題を克服し、仮想空間に求められているメリットを最大限に活かされている事がメタバースの成功に繋がった要因の1つでしょう。
他にもセカンドライフの問題点ってあったのかな
他には、スマートフォンのない時代だった事も大きいです。現在は、スマホで気軽にアバターが使え仮想空間に入れる時代です。
しかし、当時は高スペックなPCのみしか使えないとなるとそれだけでセカンドライフを利用できる人数は限られました。
その為、思ったよりも参加者が増えなかった事もあり、企業の撤退が相次ぎました。
また2008年後半のリーマンショックの為、世界全体の景気が後退してしまいさらに企業の撤退が加速しました。
そして、もう1つの要因はリンデルドルが現金通貨との換金が非課税だった事です。
その為、脱税や不正取引、マネーロンダリングといった、犯罪に利用されてしまいました。
もちろん現在は様々な規制をかけていますが、不景気も相まってセカンドライフは衰退していきました。
メタバースはセカンドライフの問題点を改善しており、プラットフォームも無数にあり、多くの人と交わる事が出来る空間を作りました。
NFTとブロックチェーンを活用し、著作権などの問題の改善に努めています。その為安全に楽しむ事が出来ます。
今後、メタバースのその他の問題点も改善していくでしょう。
メタバースのパイオニアセカンドライフは何が出来るか
しかし、一時期とはいえ、とても人気があった事は確かです。
セカンドライフって一体何が出来ていたの?
セカンドライフはインターネット上に存在する仮想世界「オリエンテーションランド」と呼ばれるフィールドに入る事が出来ます。
他国のエリアに行き、そこでコミュニケーションをとる事が出来ます。
また、ゲーム内で通貨を稼ぎ、現実の通過に換金出来る事が当時の他のゲームとの違いでした。
「ものづくりを楽しめる環境」という概念から当初は、Photoshopを使用するクリエイターが多く活躍していた様です。
セカンドライフは、仮想世界での不動産の売買が可能でした。しかし、仮想世界だからと言って、決して安いわけではありません。
ユーザーはゲーム内に本物の街を再現し、ビルを建てお店をオープンさせるなど、かなり現実に近い出来栄えです。
その為、現実世界の様に高額な取引もされています。
また、独自の仮想通貨である暗号資産「リンデルドル(L$)を使用し、仮想世界での取引が出来ます。
リンデルドルと米ドルとの為替レートが公式に用意され、様々なサイトで換金が行える様になっています。
今のメタバースと変わりない世界が約数十年前に既に存在していたんですね。
まとめ
- メタバースの問題点は依存性が高いので現実世界との関係が希薄になる
- メタバースの問題点は子供への依存が心配される
- メタバースの問題点はVRゴーグルによっての健康被害が心配される
- メタバースや仮想空間の問題点はビジネスにおける企業側の改善策を取りながら法整備を進める必要がある
- メタバースや仮想空間の問題点を克服しビジネスへの参入を活性化させる
- メタバースの成功はセカンドライフの問題点を克服した事が大きい
メタバースの問題点は他の仮想空間の問題点とも共通しています。
その為、個人や企業だけでなく国全体で改善策を見つけなければいけません。
依存度が高くならない様に警告を出す事も各家庭や学校などの声変えが大事です。
社会の一部となり得る仮想空間やメタバースを問題点からよく知り、活用する事が今後の課題です。
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