ノートパソコンはビジネスにおいて必要不可欠なツールです。
仕事用のパソコンを購入する予定だけど、減価償却の方法を忘れてしまった…。
仕事上で必要なノートパソコンを購入するときは、ノートパソコンの価格によって減価償却方法が異なることを理解しておく必要があります。
また、ノートパソコンの耐用年数が定められていることも理解しておきましょう。
特に個人事業主の方は、減価償却の方法を理解していないことで確定申告時期がさらに忙しくなってしまいます。
減価償却という言葉の響きが難しい印象を与えていますが、ポイントを押さえれば大丈夫です。
今回はノートパソコンの減価償却の方法を価格別に分かりやすく解説しますよ!
あなたがノートパソコンの買い替えや新規購入を検討するときに参考にしてくださいね♪
ノートパソコンの減価償却の方法とは?価格別に解説
ノートパソコンの減価償却の方法は、10万円、20万円、30万円を境界線にして価格で決まります。
価格別の減価償却の方法と減価償却とは何かを説明していきます。
まずノートパソコンを購入するときの価格の認識の仕方について説明していきます。
ノートパソコンの購入にかかった全額を表す取得価額
ノートパソコンを購入するときに計上する金額は、パソコン本体の費用と購入するためにかかった費用を合わせた合計金額です。この合計金額のことを、取得価額と言います。
取得価額の計算方法は、購入代価と付随費用を合計することで計算できます。
購入代価+付随費用=取得価額
ノートパソコンの購入では、運送費や購入手数料が付随費用に含まれます。
例えば、パソコン本体が10万円、ソフトウェアが5千円、送料が5千円だった場合は、取得価額は11万円となります。
パソコンの本体価格で判断しがちですが、取得価額で計上する必要があるので注意しましょう!
また、ノートパソコンを複数台購入するときも個別で経費の仕訳をするのか、1セットとしてまとめて仕訳をするのかは用途によって違います。
9万円のパソコンを2台を購入したとき、通常であれば取得価額は9万円となり、個別で判断されます。
しかし、2台を連結して単一のパソコンとして使用する場合は、2台で1セットとなるため18万円が取得価額になります。
後ほどご紹介しますが、10万円を超えるかどうは勘定科目を考える上で非常に重要な境界線です。
ですので、ノートパソコンを購入時には、取得価額を踏まえていることがポイントになります。
10万円未満は全額が消耗品費に振り分けられる
ノートパソコンの取得価額が10万円未満のものは、消耗品費として経費処理をします。
10万円未満は資産に該当しないため、経費として処理します。
消耗品とは短期間に消耗する物品のことで、文房具や電池、ガソリンなどが該当し、勘定科目は消耗品費となります。
例えば、ノートパソコンを中古で10万円未満で購入するとしたら、消耗品費に仕訳します。
最近では新品でも10万円以下で販売されていますね。状態に関わらず10万円未満であれば、消耗品費に仕訳しましょう。
また、使用可能期間が1年未満のものも消耗品費に振り分けることもできます。
私はノートパソコンでメールをチェックしたり、文章を書いたりすることにしか使用しないので、高機能や最新性を求めていません。
購入するときは、できるだけ10万未満でコスパの良いものを探すようにしています。
10万円以上は金額によって回数を分けて減価償却する
ノートパソコンの取得価額が10万円以上のものは、資産として減価償却する必要があります。
資産と聞くと貯金や土地を想像しますが、機械設備などすべての財産のことを指します。
それでは10万円以上の減価償却の方法について確認しましょう。
取得価額 | 減価償却の方法 |
---|---|
10万円以上20万円未満 | 一括償却資産処理(3年間で均等に償却) 少額減価償却資産の特例処理(30万円までなら全額を損金算入) 減価償却処理(耐用年数に従って償却) |
20万円以上30万円未満 | 少額減価償却資産の特例処理 減価償却処理 |
30万円以上 | 減価償却処理 |
減価償却の種類は通常2つあり、特例処理として2022年3月までは少額減価償却資産が認められていました。
しかし、令和4年度の税制改正大綱でこの制度の適用期限を2年間延長されることが決まっていますので、延長して利用できますよ!
続いて減価償却の種類について詳しく説明します。
減価償却の方法 | 内容 |
---|---|
一括償却資産処理 | 耐用年数に関係なく3年間で均等に償却する方法 取得事業年度での計算のため、月割計算は必要ない 一括償却資産すると償却資産税の課税対象外になる |
減価償却処理 | 耐用年数の期間で償却し、使用を開始した月から月単位で定額法か定率法で計算する パソコンは4~5年の耐用年数が定められており、性能によって期間が異なる 定額法…毎年同額の償却費を計上する 定率法…年が経過するについて償却費の額が減少する(変更する年の3月15日までに税務署への届け出が必要) |
少額減価償却資産の特例処理 | 条件付きで30万円未満全額が損金算入ができる 2022年3月までの特例だったが、税制改正大綱で2年間の延長が決定している |
少額減価償却資産の特例を受けるためにはいくつかの条件をクリアする必要があります。
- 青色申告法人で中小企業者又は農業協同組合等(資本金あるいは出資金の額が1億円以下)
- 常時使用する従業員の数が1000人以下の法人(令和2年4月1日以後に取得などする場合は500人以下)
- 連結法人に当てはまらない
- 適用を受ける事業年度において少額減価償却資産の取得価額が合計300万円まで
20万円以上で30万未満のノートパソコンを事業年度末に購入した場合は、本来であれば月割でしか計上することができません。
しかしこの特例を活用することができれば、事業年度末であっても、取得価額の全額を経費にすることができるのです。
また、一括償却資産処理には償却資産税が非課税となり、節税になるメリットもあります。
償却資産税という言葉も聞き慣れないですね。内容を確認してみましょう。
償却資産税とは固定資産税のうち、償却資産に課せられる税金のことです。個人、法人を問わず、毎年1月1日に所有している償却資産について申告する必要があります。
固定資産税は聞き覚えがありますが、もちろん減価償却資産分も課税されているということですね。
減価償却は10万円、20万円、30万円を境界線に処理方法が違うことを覚えておくと、ノートパソコンの買い替えや新規購入のときに役立ちます。
例えばあなたが15万円のノートパソコンを購入するとしたら、3種類の処理から選ぶことができますが、少額減価償却資産の特例処理には条件があるので注意が必要です。
仕事次第ではどうしても高スペックで高額なノートパソコンが必要な場合もありますね。
そのときは是非この記事を参考にしてノートパソコンを購入してください♪
減価償却とは資産を一定の方法で分けて計上すること
減価償却とは資産を耐用年数に分割するなど一定の方法によって、各年分の必要経費として配分していく処理のことです。
減価償却できるのは、減価償却資産に該当するものです。減価償却資産とは、時間が経つと価値が減少してしまう資産のことです。
例えば、建物、建物附属設備、機械装置、器具備品などが当てはまります。
逆に、土地や骨とう品などは時間の経過により価値が減少しないので、減価償却資産とは言いません。
そして、減価償却によって計上する費用のことを「減価償却費」と言います。
ノートパソコンも時間の経過とともに価値が減少していく減価償却資産となるため、減価償却を行うことができます。
減価償却は難しい印象を受けますが、10万円以上は資産として仕訳の必要があること、金額によって分割の仕方が違うことを理解していれば問題ありません。
ノートパソコンの減価償却は耐用年数と使用時期に注意
ノートパソコンの減価償却で処理する期間は耐用年数が基準となり、国税庁によって定められています。ノートパソコンは4年か5年間の耐用年数ですが、サーバー用か否かが決め手です。
ノートパソコンに限らず、減価償却資産の耐用年数は国税庁によって決められています。
例えば建物の場合、木造か鉄骨かなど素材によって年数が異なり、事務所用の建物で木造は24年間、鉄骨は50年間と決まっています。
また、購入後に未使用のノートパソコンは減価償却資産に該当しないため、使用時期にも注意が必要です。
ノートパソコンの耐用年数や使用時期の注意点について解説していきます。
ノートパソコンの耐用年数は4年から5年間で用途で決定
ノートパソコンの耐用年数は、サーバー用以外は4年間、サーバー用の場合は5年間と定められています。
メールのチェックや表計算などで使用する場合は、サーバー用で使用していないので4年間で減価償却することになります。
ノートパソコンの買い替え時期は平均的に5年程度だと言われています。
無理せず使っていれば10年程度使用できるとの意見もありますが、OSのサポートが終了したり、不具合が出たりする場合もあります。
4年間いっぱいで減価償却して、次のモデルに乗り換えるにはちょうどいいかもしれないね!
サーバー用のパソコンについては、5年間の減価償却期間に不具合が出るとも限りません。
また、節税のことも踏まえると、高額なサーバー用パソコンを購入するよりも情報をクラウドに保存した方がいい場合もあります。
10万円未満のノートパソコンを期間を決めてモデルチェンジしていく方が、仕訳の難しさもないため、ストレスなく使用できる可能性もありますね。
未使用のノートパソコンは減価償却できないので注意
ノートパソコンを購入しても、未使用のまま置いておくと減価償却できないので、注意が必要です。
例えば、事業年度末やセールでノートパソコンを購入したとしても、未使用のままだと減価償却資産には該当しません。
急いで決算期に購入した場合、その事業年度内に経費にできない可能性もあるので、使用時期には注意しましょう。
未使用のノートパソコンは、「貯蔵品」や「建設仮勘定」の勘定科目に仕訳することができます。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
貯蔵品 | 事業活動に関係する商品や原材料以外の未使用物品のこと |
建設仮勘定 | 使用目的が事業活動であって、建設もしくは製作途中にある有形固定資産に関係する費用などをまとめておくための勘定科目 |
安いからと言って衝動買いするのではなく、誰がいつ頃使うのか検討してからノートパソコンを購入するようにしてくださいね!
ノートパソコンの減価償却には個人事業主の青色が有利
ノートパソコンの減価償却には個人事業主の青色申告、白色申告の間で基本的に差はありませんが、少額減価償却資産の特例は青色申告者のみが利用可能です。
青色申告はその他にも税制上の優遇措置があり、特例以外の面でも有利です。
個人事業主の減価償却や特例について解説していきます。
減価償却に青色申告と白色申告では基本的に差がない
減価償却の方法は青色申告と白色申告に差はありません。ただし、通常の減価償却を行う場合の定率法を使用するためには税務署へ届出が必要になります。
個人事業主は申請がない限りは定額法で計算することが原則となっており、ノートパソコンも同じように計算して仕訳します。
減価償却に差はありませんが、青色申告は優遇措置があるため、今後事業展開するつもりであれば、青色申告をおすすめします。
青色申告は青色申告の承認を受けていれば、最大65万円の控除を受けることができます。
白色申告には税制上の優遇装置は基本的にありません。
ただし優遇措置がある代わりに、青色申告の承認には税務署へ開業届を提出する必要があり、保存帳簿の種類も多いため会計ソフトが必要な場合が多いです。
また、開業届を出してしまうと、失業保険が受給できない可能性もあるなど慎重に検討する必要があります。
とは言え、青色申告の税制優遇は魅力的ですね。減価償却が気になる白色申告の方は是非一度検討してみてください。
少額減価償却資産の特例は青色申告の場合に使用可能
この特例は、中小企業だけでなく青色申告している個人事業主の利用も可能です。
条件付きで30万円未満全額損金算入ができ、事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円まで可能なので節税効果が高いですよ。
青色申告の個人事業主の場合は以下の条件となっています。
- 青色申告書を提出している(資本金あるいは出資金の額が1億円以下)
- 常時使用する従業員数が1000人以下
- 適用を受ける事業年度において少額減価償却資産の取得価額が合計300万円まで
- 確定申告書などに少額減価償却資産の取得価額に関係する明細書を添付して申告する
青色申告をしている多くの個人事業主の方に当てはまりそうですね!
ただし、少額減価償却資産の特例については期間が令和4年度の税制改正大綱で2年間の延長が決まっていますが、期限があるものなので注意しましょう。
また、少額減価償却資産の特例は白色申告の個人事業主の方は使用できません。
通常の減価償却には青色申告と白色申告の差がありませんが、少額減価償却資産の特例に限っては青色申告の方が有利です。
実は事業年度内に特例に当てはまるノートパソコンを購入しているかもしれませんよ。一度確認してみましょう♪
まとめ
- ノートパソコンを購入するとき、減価償却について考慮するのであれば、本体価格だけでなく必要な経費を含めた取得価格で金額を判断する
- 減価償却資産となるのは10万円以上からなので、10万円未満のノートパソコンは消耗品となる
- 10万円、20万円、30万円を境界線に減価償却方法が異なる
- 減価償却の方法は、一括償却資産処理、少額減価償却資産の特例処理、減価償却処理の3種類である
- ノートパソコンの耐用年数は基本的に4年間であるが、サーバー用として利用する場合は5年間である
- 未使用のノートパソコンは減価償却資産に該当しないので注意が必要である
- 個人事業主の青色申告と白色申告で減価償却方法に差はないものの、青色申告は少額減価償却資産の特例を利用することができる
ノートパソコンの買い替えや新規購入のときは、必要経費を含めてすべての金額がいくらになるのか、どの減価償却方法に当てはまるのかを注意して購入してくださいね。
是非、仕事上に必要なノートパソコンを購入するときの参考にしてください♪
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