年末調整の季節が今年も近づいてきましたね。
働いたことのあるあなたであれば年末調整の書類は一度、目にしたことがあるのではないでしょうか。
私の親は自営業なので、母が年末調整の難しそうな書類と毎年冬になるとにらめっこしていました(笑)
年末調整で出てくる収入金額や所得金額。違いは何?とお思いのあなた。
収入金額は売上金額のことや給料の総支給額のことを指し、所得金額は収入金額から必要経費を引いたものや総支給額から給与所得控除額を引いたものを指します。
収入金額と所得金額の違いが分からないと収入に関する書類を書くときに困ってしまいますよね。お金に関することなので適当には書けません。
収入金額と所得金額の違いを知っていれば、年末調整以外でも色々な場面で役に立ってくれますよ♪
収入金額と所得金額の違いや年末調整での所得控除
収入金額と所得金額の違いは何なの?
収入金額と所得金額は会社員か、事業をしている側かでも変わってきます。
会社員の方の収入金額は総支給額、所得金額は総支給額から給与所得控除額を引いた額です。
事業をしている方の収入金額は売上金額、所得金額は売上金額から必要経費を引いたものです。
収入金額と所得金額の違いの理解はとても大事です。年末調整の記入にも関わってくることもあるので、しっかり覚えておきましょう!
年末調整とは年末に正しい納税額を調整するものです。
年末調整では、払いすぎた税金が返ってきます。私は年末調整でどれくらい返ってくるんだろうと毎年ワクワクしています。
払いすぎた分が返ってきているだけなのですが、まとまったお金が手に入ると嬉しいですよね!
さらに、年末調整でできる所得控除は12種類あるので、忘れずに控除しましょう。
収入金額と所得金額の違い
収入金額と所得金額は一見同じようなものに見えますよね。私は収入金額と所得金額の違いを知るまでは、同じようなものだと思っていました。
収入金額と所得金額は事業をしている方と会社に勤めている方と考え方が少し変わってきます。
- 収入金額=売り上げた金額
- 所得金額=売り上げた金額-必要経費
必要経費とは、収入を得るために使った費用のことです。必要経費には、売上原価や家賃、販売費などがあります。
- 収入金額=総支給額
- 所得金額=総支給額-給与所得控除額
総支給額は、源泉徴収額や特別徴収税額、社会保険料が引かれる前の金額を指します。
会社員の方は事業をしている方のように直接的に必要経費を出しません。収入金額に応じて必要経費の代わりとなる「給与所得控除額」が定められているのです。
この様に、収入金額、所得金額と同じ呼び方でも働き方で中身が変わってきます。
自分の働き方で収入金額も所得金額も計算の仕方が変わるので是非覚えておきましょう。
年末調整でできる所得控除
年末調整は毎月給料から引いた税金と、その年の給料の総額から見て納めなければいけない税金を比べ、過不足額を精算します。
税金の過不足の精算以外にも、いろいろな控除をしてくれます。
年末調整でできる所得控除は以下の12種類です。
- 基礎控除…所得税の納税者が一定金額の控除を受けられる
- 配偶者控除…収入がない、または一定の収入以下の配偶者がいる人が控除を受けられる
- 配偶者特別控除…決められた収入の範囲内で収入がある配偶者がいる人が控除を受けられる
- 扶養控除…控除の対象となる家族がいる人の税金負担を軽くしてくれる
- 生命保険料控除…生命保険や介護医療保険、個人年金保険料を支払っている人の税金負担を軽くしてくれる
- 地震保険料控除…地震保険に加入している人の税金負担を軽くしてくれる
- 小規模企業共済等掛金控除…対象となる共済制度の掛け金を支払った人の税金負担を軽くしてくれる
- 社会保険料控除…自分自身や養っている家族の社会保険を支払った人の税金負担を軽くしてくれる
- 障害者控除…自分自身や養っている家族に障害者がいる人の税金負担を軽くしてくれる
- 寡婦控除(かふこうじょ)…婚姻関係にあったパートナーと死別後再婚せずにいる人や、パートナーの生死が不明で一定の条件を満たす女性の税金負担を軽くしてくれる
- ひとり親控除(以前は寡夫控除)…納税者がひとり親の際に控除を受けられる
- 勤労学生控除…働きながら学校に通う人の税金負担を軽くしてくれる
ライフスタイルに合わせて色んな控除が受けられる点はとても嬉しいですよね。
年末調整ではなく、確定申告の時にできる控除もありますので、ご紹介させていただきます。
- 医療費控除…診察代、入院食、インプラント、レーシック、通院時の交通費、出産費用、治療や療養に必要な医薬品を控除する
- 寄付控除…ふるさと納税、政治献金、国税庁認定のNPO法人への寄付、国や地方自治体への寄付、公益活動を行う団体への寄付を控除する
- 雑損控除…住宅・書籍・家電・車・衣類・家具などが盗難や災害にあった時の損害を控除する
医療費に年間で10万円以上使った方や、ふるさと納税をしている人などは、確定申告時に所得控除の申告を忘れないようにしましょう。
収入金額と所得金額の違いは配偶者控除にも関係する
先ほども少し触れましたが、あなたが扶養する配偶者も控除の対象になっているかもしれません。配偶者の控除についてもう少し詳しく説明します。
配偶者控除とは?
世間でよく聞く「103万円の壁」というワード。あなたも一度はこのフレーズを聞いたことがあるのではないでしょうか。
私も学生時代にバイトをしていたのですが、両親に「103万円以上は働かないでほしいな~」と言われていました。
私のエピソードの場合は扶養控除というものになりますが、これに似て、配偶者控除というものがあります。
配偶者控除とは配偶者(妻や夫)がいる人の税金の負担を軽くしてくれる制度です。
妻と夫両方にこの制度は利用できません。どちらか一人に利用できます。
この配偶者控除にも収入金額と所得金額の違いは関係します。配偶者控除の対象となるには4つの条件に当てはまることが必要です。
この条件の一つに収入金額と所得金額の違いが関係します。
- 配偶者であること
- 納税者と生計を一緒にしていること
- 年間の所得金額が48万円以下、収入金額が103万円以下であること
- 白色申告者でないこと、青色申告者とその事業にもっぱら従事している人として、その年に給料をもらっていないこと
「所得金額では48万円以下、収入金額では103万円以下」と、ここでも所得金額と収入金額の違いは出てきます。
この違いを理解して間違えないようにしましょう。
以下の表は年収によって変わる控除額を表しています。
控除を受ける納税者の合計所得金額 | 控除される金額 |
年収900万円以下 | 38 万円 |
年収900万超~950万円以下 | 26万円 |
年収950万超~1,000万円以下 | 13万円 |
年収1,000万円超 | 0円 |
あなたはどのくらい控除されるのか、是非確認してみてください。
配偶者特別控除とは?
配偶者控除に「特別」を付けた名前の配偶者特別控除。
こちらの控除を受けるためにも配偶者控除同様条件があります。
- 配偶者であること
- 納税者と生計を一緒にしていること
- 年間の所得金額が48~133万円以下、収入金額が103~201万円以下であること
- 白色申告者でないこと、青色申告者とその事業にもっぱら従事している人として、その年に給料をもらっていないこと
- 配偶者がすでに配偶者特別控除を受けていないこと
配偶者控除とほとんど条件は一緒ですが、違う部分もあるので要注意です。
配偶者の所得額や納税者の所得金額の違いで控除を受けられる額が変わってきますので、こちらもチェックしてみてくださいね。
配偶者の一年の所得額 | 控除を受ける納税者の合計所得金額 | ||
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 |
950万円超 1,000万円以下 |
|
48万円超~ 95万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超~ 100万円以下 |
36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万円超~ 105万円以下 |
31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万円超~ 110万円以下 |
26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万円超~ 115万円以下 |
21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万円超~ 120万円以下 |
16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万円超~ 125万円以下 |
11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万円超~ 130万円以下 |
6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万円超~ 133万円以下 |
3万円 | 2万円 | 1万円 |
配偶者控除では48万円が限度でしたが、48万円より多く稼いでも、配偶者特別控除で少しでも控除されるのでとてもいいですよね。
どのくらい控除されるのかを把握してどれくらい働くかを決めるのも一つの手です。
収入金額と所得金額の違いは確定申告にも関係する
副業で30万円収入が入ったから確定申告しないと!
一見正しい行動に見えますが、収入金額だけでは確定申告が必要かどうか判断できません。人によっては確定申告をする必要がないケースもあります。
この違いはいったいどのような理由があるのでしょうか。実は、この場合にも収入金額と所得金額の違いが関係しているのです。
副業でパートやアルバイトとして働いた場合は、収入金額が20万円以上だと確定申告をする必要があります。
一方、個人事業主として働いた場合は、収入金額ではなく所得金額が20万円以上になると確定申告が必要です。
副業で確定申告をしなければいけない人、しなくてよい人の違いは働き方にもあるのです。
- 個人事業主として所得金額が20万円を超える人
例)収入30万円-必要経費9万円=21万円(所得額) - パートやアルバイトの給与収入として20万円を超えて収入があった人
- 個人事業主として20万円以下の人
例)収入30万円-必要経費11万円=19万円(所得額) - パートやアルバイトで20万円以下の収入があった人
最近は配達業務などで簡単に個人事業主として働けるようになりました。
私もウーバーイーツを気が向いたときにやるのですが、個人事業主として副業するなら確定申告が必要な人、不必要な人の違いは覚えておいたほうがいいと感じました。
まとめ
- 事業をしている人の収入金額は売上金のこと
- 会社員の収入金額は総支給額のこと
- 事業をしている人の所得金額は収入金額から必要経費を引いたもの
- 会社員の所得金額は総支給額から給与所得控除などを引いたもの
- 年末調整でできる所得控除は12種類ある
- 年末調整で配偶者控除を受けるためには4つの条件を満たす必要がある
- 配偶者控除と配偶者特別控除にも違いがある
- 確定申告をしないといけない人にはパートやアルバイト、個人事業主にも違いがある
収入金額と所得金額の違いはいろんな場面で出てくると思います。
この記事が年末調整の時にあなたの役に立てること、心から願っています♪
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