ジャズの生演奏を初めて聴いた時、格好良さに衝撃が走りました。
初めてジャズの楽譜を見た時も、同じくらい衝撃的でした。
幼い頃にピアノを習っていた私は、普通の楽譜であれば、なんとか読めます。ところが…。
訳のわからない記号だらけだ!
ジャズには独特の奥深い世界があるのだと、圧倒されました。
あなたも、ジャズの奥深い世界へ足を踏み入れているのですよね!
オルタードスケールは、ジャズらしさに満ちたスケールです。
上手く使うと、おしゃれで粋なサウンドができあがります。
しかし、オルタードスケールはなかなか難解なのです。
そこで、オルタードスケールとは何かから、使う場面や覚え方、練習方法まで調べてまとめてみました。
オルタードスケールで頭が一杯になっているあなた。そんなあなたの力になれますように!
オルタードスケールを使うとおしゃれになる!
哀愁や大人の色気が、どことなく漂うジャズ。絶妙なサウンドで素敵ですよね。
その絶妙さを作り出す要素の一つが、オルタードスケールです。オルタードスケールとは、音階の一つです。
複雑なジャズ音楽理論の中から、オルタードスケールをピックアップして、調べてみました。
オルタードスケールとは?
「オルタード」は、英語で「改造された」という意味です。
「スケール」とは、「音階」です。おなじみの「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」ですね。
つまり簡潔に言うと、オルタードスケールは改造された音階です。
ドから始まる場合、オルタードスケールは、「ド、レ♭、ミ♭、ミ、ソ♭、ラ♭、シ♭、ド」となります。
ピアノやギターなどの楽器を持っているあなたは、実際に弾いてみましょう。
普通の「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」よりも少し不安定な感じ?
スパイシーな響き!
普通の「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」と違うので、違和感はあるかもしれません。
しかし、なんだか粋で深みがありませんか?これを上手く使いこなすと、なんともジャズらしい絶妙さになるのです。
オルタードスケール中の音を使って、アドリブすると、もっと違いが実感できますよ!
アドリブとは、即興演奏のことです。演奏者の個性が楽しめる、ジャズの醍醐味(だいごみ)の一つですね。
オルタードスケールは、アドリブの時にジャズらしくておしゃれなサウンドを作ってくれます。
おしゃれで、どことなく哀愁漂う大人なサウンド。素敵ですよね。
オルタードスケールを上手く活用できたら、良いアクセントになって、ジャズらしい雰囲気になりますよ!
アドリブの時は、オルタードスケールをたくさん使えばいいね!
それは少し危険です。オルタードスケールは使える箇所が限られているのです。
誤った使い方をすると、単なる不協和音になったり、オルタードスケールの持つスパイシーさが悪目立ちしたりしてしまいます。
ジャズは難しいですね。しかし、その難しさ、奥深さが、なんとも絶妙な統一感やサウンドを生み出すのです。
オルタードスケールはどんな時に使える?
ツーファイブワン(Ⅱ-V-Ⅰ)進行のファイブ(Ⅴ)と相性が良いです。
ツーファイブワン(ⅡⅤⅠ)進行?
ジャズだけでなく、アニメソングや演歌、ポップスなど、あらゆる音楽で見られるコード進行です。
コードは和音のことです。つまり、コード進行とは和音の流れですね。
ツーは2(Ⅱ)です。ファイブは5(Ⅴ)です。そして、ワンはⅠ(1)ですね。以下の表をご覧ください。
ド | ド♯ レ♭ |
レ | レ♯ ミ♭ |
ミ | ファ | ファ♯ ソ♭ |
ソ | ソ♯ ラ♭ |
ラ | ラ♯ シ♭ |
シ |
C | D | E | F | G | A | B | |||||
1 | -2 ♭9 |
2 9 |
-3 (♭3) |
3 | 4 11 |
♭5 ♯4 ♯11 |
5 | ♯5 ♭13 |
6 13 |
-7 (♭7) |
△7 |
ジャズでよく使われている表記をまとめたものです。
ドレミファソラシドだけじゃないの!?
「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド=C、D、E、F、G、A、B=1、2(9)、3、4(11)、5、6(13)、△7」なのです。
「ドレミファソラシド」はイタリア式。英・米式では「CDEFGABC」になるそうですよ。
ジャズで使われる記号やコード表記は難しいですよね。
私も初めてジャズの楽譜を見た時は、絶望しました。
「なんか意味不明な謎のアルファベットがあるんですけど…。」と、なえてしまいそうでした。
話がそれてしまいました。ド(C)を基準に考えてみましょう。
ドを基準にする(Cがキーとする)と、2(Ⅱ)はレです。
5(Ⅴ)はソです。そして、Ⅰ(Ⅰ)はドですね。
ツーファイブワン(ⅡⅤⅠ)進行とは、コードが次の順に進行するものを言います。
- レ(D)をルート(根音)としたコード
- ソ(G)をルート(根音)としたコード
- ド(C)をルート(根音)としたコード
ジャズの楽譜を見ると、「B♭maj7」、「D7」、「G7」などアルファベット表記が記載されています。これがコードを表しています。
ドを基準とした(キーがCの)場合。楽譜にDm7、G7、Cmaj7の順で記されている箇所があると思います。
その箇所がツーファイブワン(ⅡⅤⅠ)進行です。
Ⅴ(ファイブ)は「G 7」が該当します。つまり、「G7」の時にオルタードスケールを使用すればいいのです。
なるほど。でも、キーがド(C)以外の時は、どう判断したらいいかな?
こちらの表をご覧ください。ツーファイブワン(ⅡⅤⅠ)進行のコードをまとめてみました。
楽譜の中に、ツーファイブワン(ⅡⅤⅠ)進行となっている箇所がないか見てみましょう。
キー | Ⅱ | Ⅴ | Ⅰ |
C | Dm7 | G7 | Cmaj7 |
C♯ | D♯m7 | G♯7 | C♯maj7 |
D♭ | E♭m7 | A♭7 | D♭maj7 |
D | Em7 | A7 | Dmaj7 |
D | Fm7 | B♭7 | Dmaj7 |
E | F♯m7 | B7 | Emaj7 |
F | Gm7 | C7 | Fmaj7 |
F♯ | G♯m7 | C♯7 | F♯maj7 |
G♭ | A♭m7 | D♭7 | G♭maj7 |
G | Am7 | D7 | Gmaj7 |
A♭ | B♭m7 | E♭7 | A♭maj7 |
A | Bm7 | E7 | Amaj7 |
B♭ | Cm7 | F7 | B♭maj7 |
B | C♯m7 | F♯7 | Bmaj7 |
C♭ | D♭m7 | G♭7 | C♭maj7 |
オルタードスケールは、左から3列目「V(ファイブ)」列のコードで使えます。
オルタードスケールの中から音を選んでみましょう。選んだ音でリズムを刻んでみましょう。
それがアドリブになって、ジャズらしさを演出してくれますよ♪
ちなみに「E7」や「G7」など、「○7」と表記されるコードは、ドミナントセブンスです。
ドミナントセブンスは、不安定な響きを持つコードとして知られています。
ツーファイブワン(ⅡⅤⅠ)進行では、不安定な響きのコードから安定したコードへ進みます。
そのため、聴いていると一種の爽快感を感じることができるのです。
そこへオルタードスケールを活用したアドリブが加わると、スパイシーさも加わり、彩り豊かなサウンドになるのです。
オルタードスケールの効果について分かりました。でも、キーがド(C)なのかどうか楽譜で判断できません。
楽譜に、はっきりと書かれてはいないので、難しいですよね。
楽譜の左側にある♯や♭で判断できますよ。把握するのが難しいので表にしてみました。参考にしてくださいね!
キー | ♯、♭ | メジャースケール |
ド(C) | ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド | |
レ(D) | ド♯、ファ♯ | レ、ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ、ド♯、レ |
ミ(E) | ド♯、レ♯、ファ♯、ソ♯ | ミ、ファ♯、ソ♯、ラ、シ、ド♯、レ♯、ミ |
ファ(F) | シ♭ | ファ、ソ、ラ、シ(♭)、ド、レ、ミ、ファ |
ソ(G) | ファ♯ | ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ♯、ソ |
ラ(A) | ド♯、ファ♯、ソ♯ | ラ、シ、ド♯、レ、ミ、ファ♯、ソ♯、ラ |
シ(B) | ド♯、レ♯、ファ♯、ソ♯、ラ♯ | シ、ド♯、レ♯、ミ、ファ♯、ソ♯、ラ♯、シ |
レ♭(D♭) | レ♭、ミ♭、ソ♭、ラ♭、シ♭ | レ♭、ミ♭、ファ、ソ♭、ラ♭、シ♭、ド、レ♭ |
ミ♭(E♭) | ミ♭、ラ♭、シ♭ | ミ♭、ファ、ソ、ラ♭、シ♭、ド、レ、ミ♭ |
ソ♭(G♭) | ド♭、レ♭、ミ♭、ソ♭、ラ♭、シ♭ | ソ♭、ラ♭、シ♭、ド♭(シ)、レ♭、ミ♭、ファ、ソ♭ |
ラ♭(A♭) | ラ♭、シ♭、レ♭、ミ♭ | ラ♭、シ♭、ド、レ♭、ミ♭、ファ、ソ、ラ♭ |
オルタードスケールを一覧にまとめてみた!
ドから始まるオルタードスケールしか説明してもらってないよ。一覧があれば、私でも分かりやすいな。
確かにド(C)から始まるオルタードスケールだけでは、上手く使いこなせないですよね。
ド(C) | ド、レ♭、ミ♭、ミ、ソ♭、ラ♭、シ♭、ド |
ド♯(C♯) | ド♯、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド♯ |
レ(D) | レ、レ♯、ファ、ファ♯、ソ♯、ラ♯、ド、レ |
レ♯(D♯) | レ♯、ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ、ド♯、レ♯ |
ミ(E) | ミ、ファ、ソ、ソ♯、ラ♯、ド、レ、ミ |
ファ(F) | ファ、ファ♯、ソ♯、ラ、シ、ド♯、レ♯、ファ |
ファ♯(F♯) | ファ♯、ソ、ラ、ラ♯、ド、レ、ミ、ファ♯ |
ソ(G) | ソ、ソ♯、ラ♯、シ、ド♯、レ♯、ファ、ソ |
ソ♯(G♯) | ソ♯、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ♯、ソ♯ |
ラ(A) | ラ、ラ♯、ド、ド♯、レ♯、ファ、ソ、ラ |
ラ♯(A♯) | ラ♯、シ、ド♯、レ、ミ、ファ♯、ソ♯、ラ♯ |
シ(B) | シ、ド、レ、レ♯、ファ、ソ、ラ、シ |
オルタードスケール一覧にまとめてみたので、こちらを活用してくださいね!
- 楽譜とスケール一覧でキーを確認する
- ツーファイブワン(ⅡⅤⅠ)コード進行一覧と楽譜のコード表記を照らし合わせる
上記の手順で、ツーファイブワン(ⅡⅤⅠ)進行している部分が見つかったら、オルタードスケールを使える場所も分かりますね。
「V5」に該当する部分で、オルタードスケールを使って、どんどん実践してみましょう!
オルタードスケールの覚え方をまとめてみた!
オルタードスケールについての理解も深まってきましたね♪次は覚え方を見ていきましょう。
オルタードスケールの覚え方は、いくつか方法があります。
自分に合った覚え方を選んだり、併用したりすることが早道となりますよ!
「覚えられない!」、「覚えなくてもいいのでは?」という声が聞こえてきそうです。
たしかに、ジャズアドリブに音楽理論やスケールの暗記は必要ない、という意見もあります。
しかし、オルタードスケールに限らず、スケールを覚えて使いこなせると、アドリブする時の引き出しが増えますよ。
響きで覚える
一番大切かもしれません。たとえ五線譜(ごせんふ)で覚えても、響きが分からなければ、アドリブで使いこなすのも難しいですよね?
実際に楽器を弾いてみて、何度も耳で聴くことで感覚がつかめます。
指で覚える
特にギターの場合、抑える場所がバラバラなので、指運びは複雑です。
実際に楽器を弾いて、鍵盤や弦で叩き込みましょう。
耳と指を同時に働かすことで、記憶が定着しやすくなりますよ!
他のスケールと比較して覚える
理屈から入りたいあなたにおすすめです。ドから始まる場合、オルタードスケールは、「ド、レ♭、ミ♭、ミ、ソ♭、ラ♭、シ♭、ド」でしたね?
それに対して、普通のスケール(メジャースケール)は「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」です。
つまり、メジャースケールから、ド以外を半音下げるとオルタードスケールになるのです。
また新しい用語…。半音?
たくさんの用語が登場して、頭はパンクしそうですよね。でも、あともう少しです。
半音とは、音の距離を表したものです。ピアノの鍵盤を見るとイメージしやすいですよ。
メジャースケールを覚えているあなた。オルタードスケールを一から覚えなくても大丈夫かもしれませんね!
メジャースケールをまだ覚えられていないあなた。メジャースケールとオルタードスケールを同時に覚えることができるので、一石二鳥ですよ!
裏技?フレーズで覚える
スケールを覚えたいんじゃない!音楽をやりたいんだ!
そうですよね。上達するのに必要と分かっていても、スケールばかりでは疲れてしまいますよね。
ジャズ特有の表記。山ほどあるコードの種類。何種類ものスケール。私もくじけそうです!
気分転換で、オルタードスケールから少しだけ離れてみましょう。
アドリブでは、よく使われる定番のフレーズ(メロディ)があります。
スケールで疲れてしまったあなたや、やる気がでないあなたは、オルタードスケールを使ったフレーズ(メロディ)から入るのも手かもしれません。
試しに「オルタード フレーズ」で検索しましたが、たくさんヒットしました。
オルタード・フレーズに触れることで、オルタードの響きを体感することができますよ!
オルタードスケールを練習するにはアプリが便利!
オルタードスケールの練習は、「iReal pro」というアプリを使った練習がおすすめです。
アプリ?上達はセッションで実践あるのみだよ!
その通りだと思います。ジャズの醍醐味(だいごみ)は、何と言ってもセッションでしょう!
セッションとは、演奏者達が集まって即興演奏することです。
でも、初心者にとってセッション参加は、勇気がいりますよね?
「上手くいかなかったらどうしよう。」「まだアドリブとかできないし。」「オルタードスケールもまだマスターできていないし。」など、色んな声が聞こえてきそうです。
かと言っても、1人でオルタードスケールばかり練習しても面白くないですよね?
また、1人でオルタードスケールをマスターして、アドリブにつなげることは至難の業でしょう。
そんなあなたにおすすめの練習アプリがあります。「iReal pro」です。
- Android、iOSともに使用可能
- ジャズ1300曲分のコード進行をまとめてダウンロードできる
- ダウンロードは無料
- メロディパートはないが、ドラムやピアノのコードを伴奏してくれる
- 伴奏中にピアノ・ギター・ウクレレのコードをどう抑えるか示してくれる
- 曲のコードに関するスケールも示してくれる
1人で黙々と練習するのではなく、伴奏に合わせて楽しく練習できそうですね!
コードの抑え方やスケールを表示してくれることはありがたいですよね!
ジャズを始めたばかりのあなたも、安心して効率よくスキルアップが期待できます。
しかし、こちらのアプリは初心者だけでなく、プロにも愛用者が多いのだとか。
その理由は、色々な使い方ができることにあります。
コード進行を自作できます。さらには、キーやリズムの変更も可能なのですよ!
しかし、デメリットが二つあります。一つは、メロディが表示されないことです。
メロディを確認したり、自分で演奏したりするために、別で楽譜は用意しなければなりません。
もう一つは、有料なことです。1840円もします。アプリでは、あまり見ないほど高価ですね。
それでも、個人的には値段以上の価値があると思います。ジャズだけで1300曲ですよ!
ジャズは奥深い世界です。きっと一生続けられる趣味となるでしょう。
そう考えると、ずっと使えるであろうこちらのアプリ、むしろお値打ち品ではないでしょうか?
まとめ
- オルタードスケールは、ジャズらしいおしゃれなサウンドを作ってくれる
- 簡潔に言うと、「オルタードスケール」は「改造された音階」
- ドから始まるオルタードスケールは、「ドレ♭ミ♭ミソ♭ラ♭シ♭ド」
- オルタードスケールは、ツーファイブワン(Ⅱ-V-Ⅰ)進行のファイブ(Ⅴ)と相性が良い
- オルタードスケールの覚え方は、自分に合った方法を選ぶのが早道
- オルタードスケール練習に打ってつけの練習アプリがある
オルタードスケールのことをまとめてみました。少しでもお役に立てていたら幸いです。
計算されつくした理論に基づいたアレンジだからこそ、あの絶妙な統一感やサウンドが生み出されるのですね。
コードやオルタードスケールなどを使いこなす演奏者の方達は、本当にカッコイイですね!
難しくて奥が深いジャズの世界。どんどん沼にはまってしまいそうです(笑)
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